理事長挨拶
2024年度理事長 斎藤 アレックス

理事長所信
「はじめに」
全国の青年会議所は『明るい豊かな社会』の実現を共通の理想とし、日々それぞれの活動地域で「まちづくり」と「ひとづくり」に取り組んでいる組織です。
大津青年会議所は昭和28年11月に全国53番目の青年会議所として設立され、先輩諸氏は70年以上にわたり、その時々の社会情勢に合わせ地域の課題解決に向け運動を展開し多くの人と地域の歴史を紡いできました。
昭和と平成の時代が終わり令和の新時代を迎えた今日、大津が抱える問題も、そして大津青年会議所が抱える課題も変容しています。
大津には戦前から戦後間もない頃までに化学繊維、電機、半導体などの工場の立地が進み大きく発展を遂げましたが、今世紀に入ってからは工場の撤退や規模縮小が相次ぎ産業構造は大きく変化しました。一方で宅地や集合住宅の開発は継続し人口増加が続き、大津は京阪神のベッドタウンという側面が色濃くなっています。
その結果、大津のまちの成り立ちは大きく変化し、市内のどの地域も担い手不足に悩むようになり、これまで地域の皆様とともに大津のまちづくりに取り組んできた大津青年会議所も同じ課題に直面しています。
しかし、ここで立ちすくんでいるわけにはいきません。変化が激しい時代だからこそ、青年経済人が集う青年会議所が役割を果たさなければなりません。今、私たち大津青年会議所に集うメンバーは、先輩諸氏が積み上げてきた信頼と実績を土台として、活発な活動を継続し、地域の課題に取り組み価値を創造していく決意を新たにしています。
数は少なくとも、大津青年会議所には活発に活動する若いメンバーがいます。皆の絆を深め、明るく楽しく活動することが次世代を担うメンバーの増加にもつながると確信しています。
この一年、今の仲間とこれから集う新たな仲間が一丸となり、地域に根付き、事業を通じた地域への貢献と新たなリーダーの輩出に邁進し、光り輝く大津の未来を創っていきます。
「活動の継承と発展」
大津青年会議所は70年以上にわたり、行政をはじめとした様々な団体と協働して事業を展開してきました。特に、昭和59年から行われている地域貢献事業である「大津っ子まつり」には、実
行委員として毎年積極的に参画し、40年の歴史を紡いでまいりました。また、JCI KOREAソウル瑞草との姉妹提携をもとにした相互交流はコロナ禍で一時中断を余儀なくされた後、2023年に完全再開を果たし、国境と時代を超えたネットワークを構築し友情を育んでいます。これらの取り組みはすべて、大津青年会議所の先輩諸氏が紡いできた素晴らしき財産です。私たちはその根底にある精神を受け継ぎ、活発な活動・事業を展開していきます。
本年度は大津青年会議所が創立70周年に策定した5年中期ビジョン「From dawn to pride OTSU プロジェクト」の実施2年目となります。これまで大津青年会議所が培ってきた行政や他団体様との連携を活かし、さらに強化し、新たな大津の魅力発信につながる文化の創造と、大津に住む人が大津のまちに対して更なる誇りを持ち、『住み続けたいまち大津』を実現するまちづくり事業に本年も取り組んでいきます。
また、私たちが活発に事業を行う上で、事業構築を支える組織運営が必要不可欠です。すべてのメンバーが事業構築時に重要な背景・目的に関して共通の理解のもと議論を交わし活発に活動できるような機運の醸成に取り組むとともに、限られた時間を有効に活用するために、参加するメンバーの事情に寄り添い時代に即した会議運営の在り方を導いてまいります。加えて、事業を計画する際、メンバーからお預かりしている年会費が適正に事業費に充てられているか常に気を配るとともに、これまで引き継いできた法人としての大津青年会議所の体制が持続可能な形で次代へと引き継げるよう適正な運営の在り方を構築します。
「まちの未来を担うメンバーの育成」
大津青年会議所ではメンバー数の減少傾向が続いています。どのような組織でも人がいなければ成り立ちません。そういう意味ではメンバー数を維持・拡大することが大津青年会議所の活動継続には必要不可欠です。一方で闇雲にメンバーを拡大しようとし無理な計画を立てても、それは絵に描いた餅に終わるばかりか、組織の疲弊につながり、さらにメンバー数が減るという悪循環を招きかねません。
重要なことは先に述べた活発な活動を維持することと、所属メンバーの資質向上に取り組み、大津青年会議所の活動をさらに発展させるとともに、大津青年会議所の存在意義が大津のまちの皆様に自然と理解いただける形を作っていくことです。また、メンバーの資質の向上は青年会議所活動に限らず、人生、仕事においても非常に重要なことです。
様々な角度からメンバーの資質向上を目指す研修事業を行い、成長の機会を提供し、ひいては会員の増加につなげることで、将来にわたって輝く大津青年会議所の実現を目指します。
「結びに」
今年のテーマである『光り輝く』には大津や大津青年会議所が持つ素晴らしい財産や伝統を継承し発展させていこう、という思いを込めました。
大津で育った方なら「この子らを世の光に」という糸賀一雄の言葉について学んだことがあると思います。糸賀先生は大津の地に、戦災孤児や、障がいをもつこどもたちのための「近江学園」や「びわこ学園」を創設するなどし、「社会福祉の父」とも呼ばれています。「この子らを世の光に」という言葉には、生まれながらにしてハンディキャップをもつこどもたちの人格発達の権利を徹底的に保障しなければならないという思いが込められています。世の中には障がいの有無のみならず様々な違いをもとにした差別や偏見が残り、ネット上では日々新たな対立が生まれてしまっています。大津の青年会議所のメンバーとして、私たちはこの糸賀先生の言葉を胸に、違いを尊重し皆が愛情もって支えあう大津を実現するため、私たちがそのように考動できる資質を身に付けていきます。
また、大津青年会議所が地域で果たしてきた大きな役割として、びわ湖の再生・環境保全がありますが、その中でも特筆すべきものとして1960年代の「青の輝き」というショートフィルムの作成事業があります。当時の大津青年会議所のメンバーが琵琶湖の汚染に素早く気づき、映像作品をつくって社会的に警鐘を鳴らしたこの活動は国によって水質汚濁防止法が制定される前の先駆的な活動であり、びわ湖・大津の環境再生に重要な役割を果たしました。まちの課題に気づき、果敢にその解決に向け創造的に解決に取り組んできた大津青年会議所のメンバーとしての誇りを胸に、先輩方の意気を継承し、青年としての英知と勇気と情熱を持って『明るい豊かな社会』の実現に取り組んでいきます。